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本を読み続ける中小企業経営者の読書記録

『反応しない練習』のレビュー

      2020/05/23

『反応しない練習』とは

タイトル: 反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」
著者:草薙 龍瞬
出版社:KADOKAWA/中経出版 (2015/7/31)

おススメ度

★★★★☆
(4点/5点満点)

『反応しない練習』の概要

反応する前に「まず、理解する」

・悩みをなくそうとしない、悩みを理解する
 →人生に悩みはつきものであるという現実を最初に受け入れてしまう
・苦しみの原因は「執着」にある
・悩みを作り出しているものは心の反応である
 →日々心がけることは「ムダな反応をしないこと」である
・その問題の「理由」に着目する
 →「求める心」が輪廻の流水(満たされない心の繰り返し)を作り出す
 ⇒人の心はそういうもの(求め続けるもの)だと理解しておくことが大切
 ※「心の渇き」の正体(例:私には承認欲求があるのだ)が分かるだけで
  不満状態から抜け出せる。
  でも、あの人に(家族・世間)に認められたところで、それが一体何なのか?
  とクールに考えられる。
・心の状態を「きちんと見る」
 ①言葉で確認する(ラベリング)
 ②カラダの感覚を意識する
 ③頭の中を分類する(「貪欲」「怒り」「妄想」)
 ※体の感覚に意識を向けることで、妄想から抜けることが上手になる

良し悪しを「判断」しない

・判断すること自体が気持ちいいから判断したがる
・人は3つの執着で苦しむ
 ①求めるものを得たい
 ②手にしたものがいつまでも続くようにしたい
 ③苦痛になっているものをなくしたい
・どんな判断であれ、執着してしまうと苦しみが生まれる
・判断は頭の中にしか無い妄想に過ぎない(妄想は手放すとラクになる)
・「慢」(=自分の価値にこだわる心)という心の病気に気をつける
 →正しいかどうかの判断基準は「真実であり有益(役に立つ)であること」
 ⇒「自分が正しい」という考えから離れる
・「本物の自信」をつけるには?
 →とりあえず「体験を積む」だけでよい
・どんなときも自分を否定しない(怒りを作り出すのは自分である)
・自由な心を取り戻すエクササイズ
 ①散歩する、②広い世界を見渡す、③「私は私」と肯定する

マイナスの感情で損しない

・まず悩みを整理する
 →「感情」の問題と相手との「関わり」の問題は分けて考える必要がある
・ムダな感情を防ぐ(反応しないことが最高の勝利)
・相手の反応は相手に委ねる
 →「正しさ」は人それぞれ違う
  「相手が自分と同じ考えのはず」という期待は妄想でしかない
 ⇒自分が正しいという思いには「慢」が常に働いている
・困った相手と「どう関わるか」
 →相手のことを判断しない/過去を忘れる/
  いつでも「初めて会った人」と考える/理解しあうことを目的とする
・「快」(=喜び、楽しさを感じる心)を大切にする(大原則)
 →自分が「快」を感じる限り、欲求を大切にしてよい
  欲求をエネルギーに変えて快を感じる生き方は合理的である
 ⇒「快」を増やせ、「不快」を減らせ

他人の目から自由になる

・他人の目が気になる理由は承認欲が作り出す妄想である
 →妄想に過ぎないことをはっきりと自覚することが大事
  妄想は確かめようのないことなので放っておく
 ⇒大切なのは自分自身の人生の目的をはっきりさせること
・うっとうしい相手から距離をとる(反応の源を断つ)
・較べない、自分のモノゴトに集中する
 ①妄想でしかないのに比較することは非合理
 ②自分の状況は変わらない
 ③絶対・完全に有利な立場に立つことは不可能
・承認欲はモチベーションとして利用するだけ
 (目的そのものにしてはいけない)

正しく競争する

・「勝つ」というバーチャルな価値だけにこだわると、
 終わりの無い競争に突入する(競争の正体は全て妄想)
 →競争という現実に自分はどう向き合うかを考えるべき
 ①競争に参加して勝利を目指す
 ②競争から降りて違う生き方を目指す
 ③競争の中を違うモチベーションで生きる
・「正しい動機」を用意する
 →「慈」、「非」、「喜」、「捨」(=手放す、反応しない)
  この4つの心がけを知っただけで気分が落ち着き、苦痛が減る
 →「お役に立てればよし」と考える
・5つの妨げに気をつける
 ①快楽に流れる心、②怒り、③やる気の出ない心、
 ④そわそわと落ち着かない心、⑤疑い

★仏教(=ブッダ)の教えは
 「正しい理解によって、人間の苦悩から自由になる方法」のこと

新たに得られた知識・情報・気づき・考え方など

  • 「感情」と相手との「関わり」の問題は分けて考えるべき
  • 本物の自信をつけるために「とりあえず体験を積む」
  • 「快」は大切にしたほうが良い

『反応しない練習』を読んで実行すること

  • 「相手の反応は相手に委ねる」をいう意識を徹底する

『反応しない練習』はこのような人にお勧めします

会社経営をしていると、周囲の人間に対して腹が立つ場面は
普通の人よりも多くなるのではないかと思います。

そのたびに出来るだけその怒りを飲み込み、
少しでも発言や態度に出してしまえばそれを後悔する、
という繰り返しで、これはそれなりのストレスとなります。

そんな日々を送る中で、このタイトルにつられて読んでみました。
まぁ、結局「反応」しているんですよね。

東大卒の僧侶の方が書いているだけあって、
構成はしっかりしており、読みやすくて説得力も十分にあります。
対人関係に悩んでいる人にとっては
人生がラクになりそうなヒントが得られるのではないでしょうか。

ただ、会社を経営している立場になると
ここまで割り切って人(特に社員)と向きあい続けていくことは
現実的に難しい気もします。
ということで、確かに良書ではありますが、
このブログ的には-1点で、星4つです。

ということで、最後までお読みいただきありがとうございました!

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