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本を読み続ける中小企業経営者の読書記録

『ありえないレベルで人を大切にしたら23年連続黒字になった仕組み』のレビュー

      2020/05/23

『ありえないレベルで人を大切にしたら23年連続黒字になった仕組み』とは

タイトル: ありえないレベルで人を大切にしたら23年連続黒字になった仕組み
著者:近藤 宣之
出版社:ダイヤモンド社 (2017/3/17)

おススメ度

★★★★☆
(4点/5点満点)

『ありえないレベルで人を大切にしたら23年連続黒字になった仕組み』の概要

23年連続黒字は社員のモチベーションが10割

・お金をかけずにモチベーションを高める2つの方法
 ①社長の笑顔
  悪い情報ほど笑顔できく
  笑顔は性格ではなく能力である
 ②社長の声がけ
  コミュニケーション自体が社員教育である
・「今週の気付き」「今週の頑張り」をメール報告してもらう
・会議は「社員教育」の場+社長の「広報宣伝活動」の場
・社長の役割は社員に「自己成長の機会を与えること」

10年以上離職率ほぼゼロ!人が辞めない仕組みはこうつくる

・安定的な雇用確保こそ経営者の役割
 →赤字は犯罪
  会社の規模を大きくすることに意味は無い
  社員が努力すれば利益を生む構造を作ることが社長の仕事
・会社経営の目的
 ①社員の雇用を守る②社員の成長を促す
・「2-6-2」の下20%を切ってはいけない
 →辞めさせると残りの80%のモチベーション低下
  下位20%の雇用を維持すると「雇用を守ってくれる」とロイヤリティ上昇
・「言いたいことが言える雰囲気」があれば社員は辞めない
 →社長批判を受け止める度量が必要、諫言に対しては感謝を伝える
<社員が辞めない3条件>
 ①言いたいことが何でも言える明るい風土
 ②会社から大事にされているという実感
 ③会社は自分の者だという当事者意識
・理想の職場を「SOFT」に集約
 S: スピード、シンプル
 O: オープンマインド、opportunity(機会平等)
 F: Fair、Flexibilty
 T: Transparency(透明性)、TeamWork(協調性)
・ダイバーシティの2つのメリット
 ①人と比べなくなる(似た人が集まると他人が気になる)
 ②お互いが刺激し合う
・女性社員には「貢献」(家族優先でいい)を、
 高齢社員には「献身」(技術継承、後輩育成など人生最後の献身)を求める

なぜ女性社員を大切にすると利益が上がるのか

・雇用契約は人によってバラバラが正しい
・「ダブルアサインメント」「ダブルタスク」を導入する
・目指したいロールモデルがいるとよい

どん底から運をたぐり寄せるコツ

・社長が変わらなければ、社員も会社も変わらない
不振の原因を外部環境のせいにしてはダメ
 →社長のせい(問題は全て自分の中にある)
試練があるから成長する
 →不条理な出来事もトラブルも、すべて自分を磨く砥石である
・人生において2点間の最短距離は直線ではない
・運が良くなる5つの心がけ
 ①いつも明るく笑顔を絶やさない
 ②いつも感謝する
 ③「昨日より今日」「今日より明日」と成長すること
 ④絶対に人のせいにしない
 ⑤周りに起こることはすべて必然と考え、全てを受け入れる

※「自分は運がいい」と思えば、うまくいかないことがあっても捉え方が変わる
 (経営者には「運」や「ツキ」が必要)

新たに得られた知識・情報・気づき・考え方など

  • 「2-6-2」の下位20%を大切にすることの重要性
  • 雇用契約は人によってバラバラで良い

『ありえないレベルで人を大切にしたら23年連続黒字になった仕組み』を読んで実行すること

  • これまで以上に「自分は運がいい」と考えるようにする

『ありえないレベルで人を大切にしたら23年連続黒字になった仕組み』はこのような人にお勧めします

日本電子の子会社(後にMEBOで独立)の日本レーザーの社長さんが書いた本です。
7度の崖っぷちを乗り越えながら、会社経営を成功に導き続けてきたという話です。

「ありえないレベル」とまでいえるかどうかは疑問ですが、
反ブラック化、ライフワークバランス、ダイバーシティといったような
近年の流行を先取りしながら結果を出し続けてきたプロの経営者ということで、
なかなかの説得力があります。
社員が定着せずに悩んでいる経営者の方などには参考になる本だと思います。

「崖っぷち」に立ち向かうエピソードなどもリアリティがあり
つい感情移入してしまう点も多い魅力ある本ではあるのですが、
読み終えて振り返ってみると、経営者本によくある普遍的な内容が多いような気がします。
やはり、結果を出し続けている経営者の心構え・考え方の本質には
共通点が多いということですね。

ということで、最後までお読みいただきありがとうございました!

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