『社長が3か月不在でも、仕組みで稼ぐ、年商10億円ビジネスのつくり方』のレビュー
2020/05/23
『社長が3か月不在でも、仕組みで稼ぐ、年商10億円ビジネスのつくり方』とは
タイトル: 社長が3か月不在でも、仕組みで稼ぐ、年商10億円ビジネスのつくり方
著者:矢田 祐二
出版社:セルバ出版 (2017/3/24)
おススメ度
★★★★☆
(4点/5点満点)
『社長が3か月不在でも、仕組みで稼ぐ、年商10億円ビジネスのつくり方』の概要
中小企業の社長は売れて儲かる年商10億円ビジネスを目指せ
・「儲かる事業」と「稼ぐ組織」をつくる
・事業構築は「開発」と「展開」の2段階で考える
「開発」:しっかりと仕組みで回り、儲かる事業モデルをつくる
「展開」:その事業モデルを拡げ、より大きく儲ける
→開発段階で売上の伸びを期待してはいけない
(※営業の提案書も無い段階で社員教育しても意味が無い)
・「仕組みで回り、しっかり儲かる1億円」を10個つくる
⇔「仕組みで回っていない儲からない1億円」が10個だと「混乱」へ
・年商数億円の延長に年商10億円は無い
・人は何かに向かって頑張っているときに一番安定し、生活に張りを持つことができる
→現状維持は慣れや緩みを生む
・社員一人あたりの労働生産性は大企業1200万、中小企業600万
→一人あたりの生産性を上げないと給与を上げることはできない
・社員教育は事業戦略、仕組みづくりの後
⇒仕組みを改定し追及する日々が社員を成長させる
・年商10億円ビジネスへの3条件
①年商10億円を売る事業モデル
②年商10億円をこなす分業
③年商10億円、20億円に育つ成長組織
10億円事業へのビジネスモデル、ココが事業の変革点
・「年商10億円」かつ「高業績事業」が持つ絶対条件
→年商10億円の「条件」の方が先である。(必要な条件を知り目標を立てる)
⇒年商数億円の事業は「数億円の条件」を満たしているからそうなっている
・事業モデルの変革が最重要で最も難しい
<儲かる事業の条件>
①「よい商品」と「よい顧客」
「よい商品」:特色があり同業他社よりも優れている
「よい顧客」:その商品を高くても喜んで買ってくれる
②自社で売る力をもつ(自社で売る)
・年商10億円を売る事業モデル「3つの大変革」
視点①:客単価(手間に見合った)
視点②:価値変換(モノではなく価値を売る)
視点③:商品化(≒物販化)
→「何か困りごとはないですか?」では儲からない
⇒買える形にする(カタログ、提案書など)ことが大事
※優秀な人にしか売れないのは「売れる形」になっていないということ
(社員の能力の問題ではない)
確実に業務をさばく「自主回転」の現場づくり
企画、提案、技術といった「クリエイティブ」が会社の成長を阻害する
・社長(神懸ったレベルにあることが殆ど)を基準にした事業モデル、
優秀な人材がいないと成り立たない事業モデルは×
・できたものを売る
・10億を目指すということはクリエイティブを無くすための取り組み
・「1回稼いで終わり」では1人あたりの生産性は変わらない
考え・行動する現場、社長に提案する管理者をつくる
・経営計画書(≒事業設計書)を作成する
→商品定義、ターゲット、開拓法、価格、粗利率の方針など
具体的な戦い方とそのための具体的な行動が示されたもの
・管理者を機能させるための3つのポイント(ダメな点)
①管理者自身が何を期待されているのか分かっていない
②業務が見えるようになっていない
③その業務の基準が明確になっていない
・組織レベルを測る4つの基準(いま自社はどの段階か?)
LV1:決められた手順を守り、最低限の通常業務が回る
LV2:現場が考え、目的や状況に応じて判断できる
LV3:各部門が継続的に業務を改善
LV4:目標達成のために各部門が取り組んでいる
・「組織の壁」「年商○億円の壁」の正体は「仕組みが無いこと」が原因
→2~3億円で止まる事業は「売る事業モデル」に問題があることが多い
5~8億円は「売る」の一部と、「分業」と「成長組織」に問題がある
・マニュアルで解決する
→文書を見ればそれに対して考えるようになる
(これがなければ「意見を出せ」といっても出ない)
人材の自動戦力化こそ成長を続ける組織づくり
・マニュアルはただの作業手順書ではない
・会社のたくさんの経験から生み出された最高のやり方
(テキストとしても最良)
次の成長をつくる、10億円、20億円、30億円への戦略
・社風、組織風土は狙ってつくるもの
・どんな組織も変えることには抵抗感を伴う
→「手間が増え、業務効率が落ちる」とかもっともらしい意見が出る
→決定は社長が行い、実行のために意見を訊くという姿勢を貫く
(※全員が理解することなど絶対にありえない)
・仕組みは導入し、修正を繰り返し、当たり前に定着するまでもっていく
⇒定着するまで諦めない
・年商10億円は自社に関わる人たちを幸せにできる目安
新たに得られた知識・情報・気づき・考え方など
- 「年商数億の延長に年商10億円はない」「年収10億円の条件が先」という考え方
- 儲けるには自社で売る力をもつことが大事
- 物販化(買える形にすること)の重要性
- クリエイティブをなくすための取り組みが必要
『社長が3か月不在でも、仕組みで稼ぐ、年商10億円ビジネスのつくり方』を読んで実行すること
- 導入した仕組みは、当たり前に定着するまで諦めないようにする
『社長が3か月不在でも、仕組みで稼ぐ、年商10億円ビジネスのつくり方』はこのような人にお勧めします
タイトル勝負の本かなと思ってましたが、予想外に読み応えはありました。
「年商数億の延長に年商10億円はない」「年収10億円の条件が先」といった考え方は
これまでは全く意識してませんでした。
2~3億円規模の中小企業を数年間経営してきた実感としては
「まさにその通り」というような気もします。
自分は会社の規模を大きくする必要は無いという考え方でやっていますが、
「年商10億円は自社に関わる人たちを幸せにできる目安」という主張に
個人的に違和感はありません。中長期だと、実際にそれくらいは必要かもしれません。
2~3億円規模の会社では組織化が実質的に難しく、業績面でも属人性が強くなって、
経営者本人が多忙でストレスを抱え続けるスパイラルからはなかなか脱却できません。
また、大不況や重大なトラブルがあったときに簡単に吹っ飛ぶ可能性も高いですし、
幸せにできる(安心感?)という面ではやはり一定の規模が必要かもしれませんね。
ただ、「しっかり儲かる1億円の事業を10本つくる」というのは
現在の自社の状況に鑑みると具体的にイメージすることができませんでした。
言うのは簡単ですが、色々と計算してみるとやはり相当高いハードルですね。
まぁ「そうなるように強く願わないと始まらない」ということだと思います。
それと「クリエイティブをなくす」という点は
多くの中小企業経営者に共通する悩みの一つでは無いでしょうか。
その必要性は非常にわかります。
でも、これを本当にどうやったら無くしていくことができるかについて
自分の答えは見つかりませんでした。
著者の主張や指摘にはごもっともな内容が多く、中小企業の経営者にとっては
新たな気付きが得られる可能性もある良い本なのですが、
その一方でやはりコンサルの立場だから言えるのかとも思ってしまいます。
ということで-1点で星4つとさせて頂きました。
その会社にとっての適切な規模というものは、経営者の性格や能力はもちろん
思想・哲学にもよってかわると思いますが、難しい問題ですよね。
ということで、最後までお読みいただきありがとうございました!