『中小企業のための全員営業のやり方』のレビュー
2016/02/20
『中小企業のための全員営業のやり方』とは
タイトル: 中小企業のための全員営業のやり方
著者:辻伸一
出版社:総合法令出版 (2015/9/18)
おススメ度5>
★★★★☆
(4点/5点満点)
『中小企業のための全員営業のやり方』の概要
営業に関するまやかしの5大常識
①営業は足で稼げ
→足で稼ぐ前に頭で稼げ
②お客様は神様
→「殿様」くらいに考えておけばOK
③商品の前に自分を売れ
→ちゃんと商品を売れ
④できる営業2割、ダメが8割
→できるが0、ダメが10割というケースも普通に存在する
⑤営業は失敗しながら覚える
→サバイバルさせずに、さっさと育てる
まず視点を変えろ
・営業マン以外を活用する
⇒営業マンが話すとセールストークになるが、
他の人が話すと事実になる
余計を増やすな、余力を生み出せ
・経営者と営業現場との感覚の違いが停滞を招く
⇒新たな施策をする際に、その意図や背景の説明が殆ど無いのが問題
・営業組織が変わらない理由(ま・た・か)
「ま」:真面目にやるだけ損
→正直者が認められる風土が大事
「た」:大変そうだ
→建前ではなく、現場の本音に焦点を当てる
「か」:変われという人ほど変わらない
→経営者の本気の姿勢・態度が大事
・営業マンがどうしてもやらないといけない仕事か否か
→誰がやっても成果が同じ仕事は他の人でOK
⇒会社全体でどれだけお客様との接点を増やせるかが大事
・「営業=縄張りづくり」である
⇒縄張り内では、一定確率以上で成果を出せる「勝利の方程式」を作り出す
・事務部門(スタッフ)の扱い
⇒あくまで「後方支援」が得意な人たちなので、
営業の矢面には立たせない方がよい
・営業ツールの重要性
⇒最後はお客様の会議室で決まる
(訪問先に置いてくる企画書・提案書は大事)
人に頼るな、仕組みで儲けろ
・営業が嫌いな人(嫌いな理由)
→現場で起こる理不尽への不安と恐怖
⇒予め想定し、予防策と対処法を練る
・営業マンを増やしても、売上げが増えない理由
→営業~契約に至るまでのプロセスに断絶が存在している
⇒営業プロセスにおける「質×量」の掛け算で考える
・装備と武器で勝つ(営業ツール)
⇒武器を与えて戦場に出す前に訓練をするのは、
古今東西、全ての戦略の常識である
・紙媒体は情報伝達の王様である
・並みの営業マンに雑談などさせる必要はない
売上げを増やすな、縄張りを増やせ
・「真の売上」:方策を練り、計画通りに上がった売上
「ウソの売上」:方策に関係なく、お客様都合で上がった売上
⇒「結果オーライ型」から「結果蓄積型」を目指す
・「売上」ではなく「縄張り」をつくる営業メソッド
<営業戦略上の3つの縄張り>
①商品の縄張り(重要商品の設定、新規客にはこの商品から等)
②地域の縄張り(圧倒的に強い地域を作る)
③客層の縄張り
<営業現場における3つの縄張り>
①取引シェアの縄張り(基本中の基本)
→特定の商品・分野で一位を目指す
②お客様の時間活動シェアの縄張り
→「会う価値のある人」以外は増えない
③記憶シェアの縄張り
→「印象×回数」で決まる
・売上をコントロールできる会社経営の3つの秘策
(1)見分ける
コントロールできる売上か否か
⇒狙ってあがった売上しかコントロールできない
(2)集中する
利益→「商品」「地域」「客層」
売上→「新規」「リピート」
※中小企業が5つ全部は無理。多くても3つまでにする。
(3)管理する
売上構成のバランスをとる(特定取引先への依存を避ける)
相手の異動・組織変更等も想定しておく
→若手担当者等に対する態度にも注意する
金でつるな、心をつかめ
・営業の人が行う仕事の意味を、それに至った背景を説明
⇒「言わなくても分かる」という考えは絶対にNG
・新しい施策の導入時には、3ヶ月間、繰り返し毎週説明
⇒新施策作りのバランスは[設計3割:運用7割]
※仕組み作りは性悪説、運用は性善説を心がける
新たに得られた知識・情報・気づき・考え方など
- 儲かり続ける会社は、仕組みから入り、人へと進む
- 会社が目指すべきは「大儲け」ではなく「長儲け」である
『中小企業のための全員営業のやり方』を読んで実行すること
- 営業以外の人がやっても成果が同じ仕事は、営業以外の人がやるようにする
- 施策の意味、背景を丁寧に説明し、定着するまで確認を繰り返すようにする
- 重点商品の営業トレーニングをちゃんとやる
- とあるニッチ商品では、必ずシェア一位を獲るように準備する
『中小企業のための全員営業のやり方』はこのような人にお勧めします
中小企業を経営していくうえで、売上不振への対応は本当に悩ましいものです。
自分が行けば売れると思いつつ、経営者になると営業に出れる時間も限られます。
「なぜ、売ってくれないのか」「いったい、何をやってるんだ」と、
営業担当者への疑問を抱えながら、かなりのストレスに見舞われます。
限られたリソースの中でどのような手を打つべきなのかを常に考えるわけですが、
そんなときに偶々この本をみつけたので、読んでみました。
タイトルどおり「中小企業のための」内容となっており、
それなりに使える(再認識させられる)ヒントが多い本だと思います。
自社の営業のあり方に悩む中小企業の経営者、営業の責任者の方などは
一読の価値はあるかもしれません。
個人的には、自分の会社について当てはめたときに、
- 自分自身の説明不足(言わなくても分かるだろう系)
- 仕組みづくりの甘さ(「勝利の方程式」の不足)
- 営業担当者の訓練の甘さ
を再認識させられました。
結局は「仕組み」が大事という当たり前のことなのですが、
自身が多忙であったり、売上不振が続いて精神的に追い詰められてくると、
なかなかに大局的に物事を見られなくなってしまうおそれもあると思います。
そんなとき、落ち着いて「やるべきこと」を考える(見直す)きっかけを
与えてくれる可能性のある本だと思います。
”凄い人が売上をあげるよりも、
やることをやれば誰でも売上があがる会社を目指す”
との記載がありましたが、全くその通りですね。
中小企業は「長儲けをするための仕組み作り」を、
常に模索し続けていく必要がありますよね。
ということで、最後までお読みいただきありがとうございました!