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本を読み続ける中小企業経営者の読書記録

『借り入れ0の資金繰り』のレビュー

      2015/09/26

『借り入れ0の資金繰り』とは

タイトル:中小・赤字企業も実践できる!借入0の資金繰り
著者:高橋善也
出版社:秀和システム (2014/7/24)

おススメ度

★★★☆☆
(3点/5点満点)

この本を読んだ目的・きっかけ

ここ数年、「無借金経営は愚の骨頂」「借入れは減らすな」などといった、
借金推奨系(?)のテーマを掲げる本が多くなった気がします。
自分の会社はいわゆる「実質無借金」の状態となっています。
確かに「借金=悪」という概念は、多くの日本人の根底に染み付いている気がします。
自分もそのような先入観から判断をしているのかも?と少し気になっていました。
そんなにときに偶々見つけたのがこの本です。

『借り入れ0の資金繰り』の概要

中小企業の資金繰りが苦しくなる理由を説明
中小企業であっても管理会計の考え方が重要
固定費を変動費にする方法や固定費の削減法を紹介

・業績賞与/パート・アルバイトの活用/賃料交渉の重要性
・社会保険の節約

最近話題の企業の稼ぎ方を紹介

・俺のイタリアン(回転率)
・ジャパネットたかた(パッケージ売り)
・でんかのヤマグチ(商圏限定、裏メニュー)
・味先ラーメン(日本の激戦を避け、新興国へ)など

新たに得られた知識・情報・気づき・考え方など

  • 成長スピードを重視しないのであれば、必ずしも銀行借り入れに頼る必要はない
  • 月商借入倍率は、全産業平均で4.3月、優良企業は1.2月程度、とのこと
  • 現金預金月商倍率は、全産業平均で1.86ヶ月
  • 昇給を7月にすると社会保険の節約につながる
  • 万が一、債務超過で最悪の事態に陥った場合、DESが有効な手段
  •  ※DES=デット・エクイティ・スワップ

『借り入れ0の資金繰り』を読んで実行すること

  • 特殊要因を除き「借入れはしない」という判断を、自信を持って維持(?)

『借り入れ0の資金繰り』はこのような人にお勧めします

個人的には新たに得られた情報は少なめでした。一般的な中小企業向けの資金繰り本と重複するような内容も多いと思いますが、銀行借り入れを迷った際は、ひとつの参考として読んでみるとよいかもしれません。
自分の会社の場合、成長スピードよりも堅実で安定した経営を重視しているので、積極的に銀行借り入れを行う必要はないということで、とりあえず納得できました。
知財サービスのように成熟・衰退系の業界に身をおいている会社としては、拡大を志向するのではなく堅実に生き残っていくことを目指して注力する方が適切と考えています。
もちろん成長スピードが勝負を決めるような業界で経営されている方は、銀行借り入れはとても重要な要素だと思います。
会社の状況、サービスの特性、業界の特徴などを考慮して、自社にとって最適な資金繰りを模索し続けることが大事ですよね。

ということで、最後までお読みいただきありがとうございました!

 - 書評, 経営(実務系)