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本を読み続ける中小企業経営者の読書記録

『嫌われる勇気』のレビュー

      2016/05/14

『嫌われる勇気』とは

タイトル: 嫌われる勇気 -自己啓発の源流「アドラー」の教え
著者:岸見一郎、古賀史健
出版社:ダイヤモンド社 (2013/12/13)

おススメ度
★★★★★
(5点/5点満点)

『嫌われる勇気』の概要

トラウマを否定

・「目的論」⇔「原因論」(フロイト的)
(例)引きこもり
 「不安だから外に出られない」のではなく、
 「外に出たくないから不安という感情を作り出す」(※親が心配してくれるから)
・自分の経験によって決定されるのではなく、
 過去の経験に与える意味によって自らを決定する
 ⇒過去に支配されない生き方
・人は怒りを捏造する
(例)怒り怒られて大声を出すのではなく、
   大声を出すために怒る(※相手を屈服させたい)
・何が与えられているかではなく、与えられたものをどう使うかが重要
・いま不幸なのは、自らの手で不幸であることを選んだからである
・人は常に「変わらない」という決心をしている(楽で安心だから)
 ⇒ライフスタイル(性格・気質)は自ら選んだもの
 ⇒これを選び直す「勇気」が大事
・これまでの人生に何があったとしても、今後の人生をどう生きるかに何の影響も無い
 ⇒自分の人生を決めるのは「いま、ここ」にいる貴方である

全ての悩みは対人関係

・なぜ自分を好きになれないのか?
 ⇒他者に嫌われて傷つくのを恐れているから→目的は他者との関係で傷つかないこと
・「悩みを消し去るには、宇宙の中でただ一人で生き続けるしかない」
・劣等感は主観的な思い込み→「主観」なので選び直せる
・「劣等コンプレックス」は劣等感を言い訳に使う状態
(例)学歴が低いから成功できない
・自慢は劣等感の裏返しである
・「不幸自慢」は自分の不幸を武器に相手を支配しようとすること
 ⇒永遠に不幸が必要となってしまう
・人生は競争ではない→いまの自分より前に進もうとすることに価値がある
 ⇒他者は「敵」ではなく「仲間」とみなす
・人間に行動面と心理面のあり方に関する目標
◆行動面
 ①自立すること
 ②社会と調和して暮らせること
◆(この行動を支える)心理面
 ①私には能力がある、という意識
 ②人々は私の仲間である、という意識

他者の課題を切り捨てる

・承認欲求を否定する
 ⇒他者の期待を満たすために生きているのではない
・課題を分離する(誰の課題なのか?)
 ⇒対人トラブルの多くは他人の課題に土足で踏み込むことに起因する
(例)勉強するのは子供の課題である
  →課題であることを伝え、援助する用意があることを伝えればよい
・自由とは他者から嫌われることである(嫌われることは自由を行使するコスト)
 ⇒幸せになる勇気には嫌われる勇気も含まれる
 (私を嫌うかどうかは、他者の課題であると考える)
・対人関係のカードは自分が握っている
 ⇒変わるのは自分である

世界の中心はどこにあるのか?

・対人関係のゴールは「共同体感覚」である
 ⇒他者を仲間とみなす、自分の居場所がある
・「自己への執着」を「他者への関心」に切替える
・褒めるのも叱るのもNGである→課題を分離して自力解決を促す
 ⇒横の関係に基づく援助を「勇気付け」と呼ぶ
・自らの主観で「私は他者に貢献できている」ことによって、自分の価値を実感できる

「いま、ここ」を真剣に生きる

・普通であることの勇気
・「人生は連続する刹那である」(点の連続)
・共同体感覚で必要な3つのキーワード
 ⇒「自己受容」「他者信頼」「他者貢献」

新たに得られた知識・情報・気づき・考え方など

  • 結局は自らの「勇気」の問題である

『嫌われる勇気』を読んで実行すること

  • 「課題の分離」を意識する

『嫌われる勇気』はこのような人にお勧めします

「アドラーブーム」の火付け役になったといわれるベストセラーですね。
遅ればせながら読んでみました。。。
う~ん、これは・・・、確かに読んでみる価値のある一冊だと思います!

哲人と青年との対話形式で話が進みますが、このやりとりが面白過ぎです。
完膚なきまでに哲人に論破されてしまう青年ですが、なぜか自分に重ねてしまいました。
テンポもよく、まさに痛快。あっという間に読み終わります。

対人関係に悩める方へ、というか、
アドラー的には「全ての悩みは対人関係」ということになりますので
人生に悩んでいる人は一度読んでみてはいかがでしょうか。

個人的には、中小企業の運営という現実のなかで
アドラーの考え方をどこまで取り入れることが可能なのかを考えさせられました。
対人関係を全て「他者の課題」として片付けてしまって、
経営が成り立つのであればいいのですが・・・、まぁ、これは別の問題ということで。

いずれにしても、この本がきっかけで
その後の人生が変わる人が出てきてもおかしくないかもしれませんね。
噂に違わぬ、良い一冊でした!

ということで、最後までお読みいただきありがとうございました!

『嫌われる勇気』の関連リンク

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『アドラーに学ぶ部下育成の心理学』のレビューはこちら
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 - 書評, 自己啓発系