『営業を設計する技術』のレビュー
『営業を設計する技術』とは
タイトル: 「営業」を設計する技術
著者:藤冨 雅則
出版社:かんき出版 (2014/2/5)
おススメ度
★★★★★
(5点/5点満点)
『営業を設計する技術』の概要
ゼロから市場開拓の「勝者」になる
・インターネットの普及で営業マンの役割は低下
→営業マンのマンパワーに依存しないことが大事
・顧客を見るな、市場を見ろ
→組織的な仕掛けが必要
→「社会的証明」の心理を活かして個人の能力をカバー
・シンプルな戦略が市場の突破口を開く
→コンセプトがずれないように、商品の位置づけを明確にする
(ポジショニングマップ)
→独自のセールスポイントがハッキリと伝わる戦略を描く
⇒相手が前のめりになる情報を集め、鋭い切り口の提案をつくる
・業績が飛躍する「起点」をつくる
→インパクトユーザの影響力が市場開拓には必要
⇒「小さな市場で伝説を作る」ことが大事
(交渉スキルや訪問件数のUPは、スズメの涙レベルの貢献のみ)
・戦略作りは顧客心理から逆算する
※販売に苦戦する理由は以下のいずれかである
①競合との差別化軸が曖昧
②顧客の欲求に焦点が絞りきれていない
※顧客心理を読みとるのは営業担当者の役目、
市場心理を読み取るのはマネージャーの務めである
※市場心理を読み、自社の優位性をかみ合わせることで
競争せずに勝てる市場の道が開ける
・成功する市場開拓手順は[狙う⇒決める⇒拡げる]である
競争せずに売上げが伸びる市場を「狙う」
※独占市場を築き、高収益体質になる
- 自社の優位性を明確にする(参入市場分析)
- その優位性を欲しがる市場に狙いを定める
- 参入市場の売り上げ規模を推定する
- 利益の上がる市場が否かを見極める
- 誰も真似できない参入障壁を作る(取引先の差別化)
- 市場を段階的に攻略して事業を強化する
強い影響力を持つインパクトユーザを「決める」
※信用移転効果を狙う
(一流と取引すると企業力も必然的に上がる)
- インパクトユーザへの営業体制を設計する
- 顧客がノーと言えない大義名分を身にまとう
- 見込み客の興味を引く営業シナリオをつくる
- トップ企業ではなく2番手、3番手を狙う
- 狙った顧客へのアプローチ技術を設計する
- 商談技術を極限まで高める
ここでは保守的なタイプの営業マンはダメ
(例)地域の活性化のために~
①理想の姿②現状③ギャップとなる課題④契約・購買などの阻害要因
の情報を収集し、提案する
チャレンジングな意思決定をしやすい
「購入の意思決定は会議室で決まる」
営業力のある販売実績を武器に「拡げる」
※「波及営業」が成功するための3つの条件
①インパクトユーザと共通の悩み、背景、目的を持つ
②現状に不満があり、解決への切望感がある
③競合他社との明確な差別化ポイントがあり、一目瞭然に第三者が識別できる
- 拡販体制を整える
- 見込み客接点の全体最適を徹底する
- プッシュ戦略とプル戦略を使い分ける
- 自然と拡がるための営業プロセスを設計する
- PDCAサイクルを組織に定着させる
ここは一般的な営業マンでOK
最強のセールスコンテンツを準備(導入先インタビュー、事例PR)
ボトルネック解消プログラム(仮説→検証を習慣づけ)
波及営業で事業を飛躍させる
・[市場創造力=企業生命力]である
・何もない状態から、いかに売れる仕掛けをつくれるかが大事
・売上は自らコントロールできなければダメ
(他人に生命維持装置を預けたも同然である)
・市場創造力を身につける最初の一歩は
「要求」ではなく「欲求」に焦点を当てることである
新たに得られた知識・情報・気づき・考え方など
- インパクトユーザの影響力を活用することが大事
- 「市場心理」を考慮した営業の重要性
『営業を設計する技術』を読んで実行すること
- 信用移転効果を狙った営業アプローチと、必要な資料を検討
- 商品・サービスごとに、自社の優位性を再確認して先鋭化
- 顧客の「要求」ではなく「欲求」に焦点を当てて考える
『営業を設計する技術』はこのような人にお勧めします
営業担当者のスキルに依存しない仕組みづくりを模索している中、
タイトルが気になったので読んでみました。
「信用の移転効果」の重要性等は、言われてみれば当たり前のことですが
最近は自分の意識から完全に消えていたことです。
その重要性を再確認しただけでも、個人的には十分な価値がありました。
営業担当者の提案力向上や訪問数の増加も大事なことですが、
信用移転効果の威力に比べれば、その効果など限定的かもしれませんね。
特に保守的な業界で営業している会社だと、この点は痛感すると思います。
「セールスメッセージは企業の品格を決める
全身全霊で切れ味の鋭いメッセージを作りこめ」
という記載もありましたが、これも大事ですね。
「予想以上に良い本だった」というのが読み終わったときの感想です。
特にB to Bものの営業で苦戦している方は一読の価値があると思います。
お奨めの一冊です!
ということで、最後までお読みいただきありがとうございました!