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本を読み続ける中小企業経営者の読書記録

『松下幸之助 パワーワード』のレビュー

      2016/04/10

『松下幸之助 パワーワード』とは

タイトル: 松下幸之助 パワーワード -強いリーダーをつくる114の金言
著者:小宮 一慶
出版社:主婦の友社 (2015/4/1)

おススメ度
★★★★☆
(4点/5点満点)

『松下幸之助 パワーワード』の概要

受け入れる

・与えられた境涯に素直に生きる(謙虚な心を忘れない)

・「心配またよし」である

・不可能にぶつかったらチャンスと考える
 →全ての方法を白紙に戻して一から問い直してみる

・「天は二物を与えず」というが、逆に一物は与えるといえる
 →その与えられた一つを大事にして育ててあげる
 ⇒全知全能を人間に求めるのは愚の限りである

・上がりっ放しも無ければ、下がりっ放しも無い
 上がり下がりの繰り返しのうちに、人は洗われ磨かれていくものである
 ⇒前向きを実践するコツ:「いいね」「凄いね」を口癖にする(小宮氏)

・自分と他人の違いを嘆くより、
 その違うということの中に無限の妙味、豊かさを感じたい

一生懸命

・急げ、とにかく急げ
 →「わしは1年でも2年でも待つが、世間が待ってくれるかどうかは知らんで」
 ⇒せっかちは成功する人の条件の一つ(小宮氏)

真剣

・熱心は人間に与えられた大事な宝である

・熱意があれば知恵が生まれてくる

・いま、現在に最善を尽くす
 →すぐにやるか、やらないか

責任と感謝

・一切の責任は我にあり
 →成功は運のせい、失敗は自分のせいと考える

・「この仕事は自分の事業なのだ」そういう考えに徹することができれば
 君の中から想像もできない偉大な力が生まれてくる

・拝むほど部下の働きに感謝する

・企業は社会から預かっている公器である
 →利益とはいい仕事の結果である
 ⇒そもそも利益とは(以下の5つのための)手段である
  ①企業の延命、②未来投資、③従業員への待遇改善
  ④株主への還元、⑤社会への還元(税金)

学ぶ

・「他人は自分より偉いのだ、自分に無いものをもっているのだ」
 と考えるほうが結局は得をする

・衆知を集める
 →人を信じられない人は、人に任せられない
 ⇒一人でまわせる程度の仕事しかできない

・とにかく考えてみることである、工夫してみることである。
 そしてやってみることである

向上する

・今日のサラリーマンに要求されるのはプロの仕事である
 →自分の納得を基準にしてはダメ、
  他人からの評価を気にしないとダメ(点数を付けるのはお客様)
  (小宮氏)

・基本的に人間は成長する。
 だからあの人は昔ああだったとか、非難してはならない

・物心ともにダムが欲しい
 →ダム経営をしようと強く思うことが大事である
 (↑稲盛和夫氏が感銘を受けた)

姿勢と意識

・不景気だからこそ面白い、こんなときこそ自分の実力がものをいう
 →しんどいときに人の真の実力が測られる(小宮氏)

・お願いするのは私の方です

・体は休んでもいいが、心まで休んで遊んでいることがあってはならない
 →「心を許して余暇を楽しむような人は、経営者にはなれんはなぁ」

・全ての人を自分より偉いと思って仕事をする
 →リーダーとして成功する人は、他人を心から褒められる人
 (例)部下が提案に来たこと自体を褒める
   →その後も知恵を持ってきてくれる

・こだわりを捨てよう。こだわりは行動に制約を与える

・世間が正しいと思えば、世間の求めに応じて経営していこうと考えることができる
 →世間の評価が会社の業績である

伸びやかな心

・求める活動から与える活動への転換を図りたい
 →誰も自分を愛してくれないと感じるのは、貴方が誰も愛さないから

・親切は協力の呼び水

・悩みはあって当たり前。常に反省している証左でもある

・失敗する方には「私」がある。
 一方、成功する方には「私」というものがありません。
 私は「私」を忘れなあかん、ということを終始言いきかせているのです

部下へ

・全員が店主であれ

・半分は先輩から教えてもらう、半分は部下から教えてもらう
 →イトーヨーカドーの鈴木雅俊さんは、
  どんな人の話を聞くのにも必ずメモを取っていた(小宮氏)

・「部下の話に耳を傾けることは大事やで。えらい得するよ」
 →①部下がやる気を出す、②大事な情報を集められる、③結局は尊敬される

リーダーとして

・人を使うということは苦を使うこと。
 それを不平を言わずに耐え忍んで、そこになお喜びを感ずるところにこそ
 本当に人を使う喜びが湧いてくる。

・人は本来働きたいもの。働くことを邪魔しないことが一番うまい人の使い方

・叱ってくれる人をもつことは大きな幸せである
 →自分を抑えて人の話を聞く

・信賞必罰は一番大事なものである

・人の上に立つものは愛嬌が無ければならない
 →人が近づきやすい表情をしていないと、人は集まらない

・相手に対する過大な期待に注意
 →自分のやり方を中心に考えるのやめる

・ハエもいて世の中が成り立っている(水清ければ魚棲まず)

・「君ならやれる。わしだったらできないけど、君ならやれる」

新たに得られた知識・情報・気づき・考え方など

  • 自分と他人との違いの中に、妙味・豊かさを感じたい
  • 失敗する方には「私」がある。成功する方には「私」というものがない
  • ダム経営をしようと”強く思う”ことが大事
  • 部下の話に耳を傾けることの重要性
  • 人が近づきやすい表情をしていないと、人は集まらない

『松下幸之助 パワーワード』を読んで実行すること

  • 「いいね」「凄いね」を口癖にする
  • 「世間が正しい」と考えるようにする

『松下幸之助 パワーワード』はこのような人にお勧めします

「経営の神様」こと松下幸之助さんによる数々名言について、
著者の小宮一慶氏が解説、コメント、エピソード等を添えて紹介する
というのが基本的なスタイルになっています。

小宮氏の松下幸之助さんに対する強い思い入れは十分に伝わってきますが、
解釈がやや飛躍しているような気がする箇所もありました。
名言の単なる解説というよりは、松下幸之助さんの言葉を借りて、
小宮氏自身の考え方を伝えたいという意図も感じます。

純粋に松下幸之助さんの考え方を学ぶのであれば
やはり本人の原著に近いものを読むべきかと思います。

とはいえ、小宮氏自身の考え方にも参考になる点がありますし、
この値段(1,080円)で「経営の神様」の哲学を効率よく学べるという点で、
コストパフォーマンスの高い一冊であることは間違いありません。

原著をじっくりと読んでいるような時間は無いけど
とり急ぎ「神様」のお言葉を学んで精神を安定させたい、
といった経営者の皆さまにお勧めします。

ということで、最後までお読みいただきありがとうございました!

 - 書評, 経営(哲学系)