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本を読み続ける中小企業経営者の読書記録

『社長の覚悟』のレビュー

      2020/05/23

『社長の覚悟』とは

タイトル: 社長の覚悟 -守るべきは社員の自尊心
著者:柴田励司
出版社:ダイヤモンド社 (2015/3/13)

おススメ度

★★★★☆
(4点/5点満点)

『社長の覚悟』の概要

1.社員を動かそうと思っていはいけない

「社員はそもそも自分の思い通りには動かない」という現実を認識すべき
 →自発的に動く社員であれば、指示しなくても動いている
 (もしくは自分で事業をしている)
 ⇒動かそうとしている時点で、その社員は「動かない」のである
 ※動かない理由
 →社長と社員では、同じ状況を前にしても見えている景色が全く違うから

・社長の仕事は「動きたくなる」環境づくり(如何に動機づけするか)
 →「権限の委譲」が重要(「自分の仕事」だと思ってもらうことが大事)
 ⇒「業務の全てに関与したい」という欲求を乗り越えてこそ出来るもの
 (心配性の社長には難しいが、社員を育てるには避けて通れない)

・社員の出来る/出来ないは全て社長の責任
 →(社員を責めるのではなく)自分の責任として社員をサポートできるか否か

2.「社員のために」がヤル気を生む

・守るべきは社員の自尊心
・モチベーションに水を差してはいけない
 →長期的な水差し:同じ仕事をずっとやらせること
 →短期的な水差し:仕事を評価しない(いい仕事をしたら一声かけて褒める)
・社長はある意味「公人」である
 →期待されているイメージを演じることも大事
・ヤル気にさせる魔法の言葉 ”I care about you”
 →私はあなたのことを気にかけています、という思いがこもった言葉が大事

3.伝えたいときこそ聞く

・聞く場を定例化する
・聞くチャネルは多種多様にする(出張同行、レクリエーション)
・相性の良くない部下ほど時間をかけた対話を
 ⇒コミュニケーションの良し悪しは共有した時間の量に比例する

4.悪い報告こそ歓迎する

・メッセンジャーを撃ってはいけない
・悪い報告を聞くときこそ、心に静かな水面を

5.できない社員にはできるための支援を

・出来る社員になる3条件
 ①心の持ちよう②ポータブルスキル(社会人基礎力)③特定スキル
・配置と組合せで出来るようになる場合がある
・プレーヤーかマネージャーかを見極める
・時には「手取り足取り」も必要
 ⇒アウトプットのイメージを丁寧に伝える
・社員に寄り添い「出来る」を探す

6.何かを始めたら何かやめる

・「始める」と「やめる」は常にセットで考える
・「やりたいこと」より「いまやるべきこと」を

7.異動や抜擢で、いまに甘んじない組織を

・「安定した成長」より「変化への対応力」が必要
 ⇒定期的な異動でモチベーションを維持し、スキルアップ
・抜擢したら必ずサポートする
・稼ぐ社員に嫉妬してはいけない

新たに得られた知識・情報・気づき・考え方など

  • 「何かを始めたら何かをやめる」という考え方
  • 同じ仕事をずっとやらせることのデメリット

『社長の覚悟』を読んで実行すること

  • 長年同じ仕事をしている社員に、配置転換の希望の有無を確認する

『社長の覚悟』はこのような人にお勧めします

タイトルに「覚悟」とあるので、精神論系の話が多いのかなと思いましたが、
実際の内容はオーソドックスな企業マネジメント論が中心でした。
企業は結局は「人」で決まるということで、やはり「人」の扱いに関する話が多いです。

著者が推奨する具体的な取り組み事項がいろいろと書かれていますが、
異動・配置転換の有効性についてはあまり考えたことがありませんでした。

少人数で運営している中小企業の場合は、
異動や配置転換を考えること自体が少ないでしょうが、
その可能性を探ってみる価値はあるかと思います。

他にもあまり気付かなかった示唆が何点かあったので、読んでよかったです。
結構まともな本なので、経験の浅い経営者の方にはお勧めできます。

ということで、最後までお読みいただきありがとうございました!

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